親から受け継いだ家、どうする?実家の処分と活用法
第2回:実家を売却するという選択肢とは?流れ・判断基準・注意点を解説

「親から相続した実家、どうすればいいのだろう?」

思い出が詰まった家だからこそ、すぐに手放す決断は難しいものです。しかし、住む人がいなくなった家を維持するには、管理費や固定資産税などのコストがかかり、心身の負担になることもあります。

本記事では、実家を「売却」する場合の判断基準・流れ・注意点について、わかりやすく解説します。実家をどうするか迷っている方にとって、納得のいく判断材料となるはずです。ぜひ最後までお読みください。

実家を売却するべきか?判断のポイント

実家の処分方法の中でも、「売却」はシンプルで比較的負担の少ない選択肢です。以下に該当する方には、売却が適している可能性があります。

〇売却が向いているケース

  • 今後、誰も住む予定がない
  • 維持・管理費用の負担を減らしたい
  • 相続財産を現金化して整理したい
  • ライフプランに合わせて資産を見直したい

売却を迷うケース

  • 将来的に家族が住む可能性がある
  • 思い入れが強く、手放しづらい
  • 不動産市況が低迷しており、タイミングを慎重に見たい

まずは、気持ちと状況を整理することが重要です。

実家売却の流れ|スムーズに進めるためのステップ

売却は「不動産会社に依頼して終わり」ではありません。以下のステップを踏むことで、スムーズな取引につながります。

1. 市場調査と価格査定

  • 近隣の売却事例や相場を確認する
  • 複数の不動産会社に査定を依頼(理想は3社以上)

2. 不動産会社の選定

  • 【仲介】市場で販売。高く売れる可能性があるが時間がかかる
  • 【買取】業者に直接売却。早く現金化できるが価格は低め

3. 売却活動の開始

  • 不動産サイトや広告を活用
  • 内覧対応で物件の魅力を伝える

4. 売買契約の締結

  • 条件交渉を行い、買主と合意
  • 契約締結・手付金の受領

5. 決済・引き渡し

  • 残金の受け取りと名義変更(所有権移転登記)
  • 税金や諸費用の精算

売却を成功させるための3つのポイント

1. 事前準備をしっかりと

  • 不用品を処分し、清潔で整理された印象に
  • 簡単なリフォームを検討(過度なリフォームは不要)

2. 適正な価格設定

  • 相場より高すぎると売れにくく、安すぎると損
  • 売却希望時期に応じて価格戦略を立てる

3.税金・費用を把握しておく

  • 譲渡所得税(売却益がある場合)
  • 仲介手数料・登記費用・印紙税などの諸費用


実家売却に関わる税金の基礎知識

実家を売却する際には、さまざまな税金が関係します。事前に確認しておくことで、後から慌てずに済みます。

  • 譲渡所得税
     不動産を売却して利益(譲渡益)が出た場合、その利益に対して課税されます。所有期間によって税率が異なり、「5年以内は短期譲渡所得」「5年超は長期譲渡所得」となります。
     👉 詳しくは国税庁|譲渡所得の課税のしかたをご確認ください。
  • 相続税
     実家を相続した際にかかる税金です。基礎控除の範囲内であれば課税されない場合もあります。
     👉 詳細は国税庁|相続税のあらましをご覧ください。
  • 登録免許税
     相続登記や売却に伴う所有権移転登記の際に必要な税金です。
     👉 詳しくは国税庁|登録免許税についてをご参照ください。
  • 印紙税
     不動産の売買契約書に貼付する印紙に課税される税金です。契約金額によって印紙代が異なります。
     👉 詳細は国税庁|印紙税の手引きをご確認ください。

不動産会社を選ぶ際のチェックポイント

  • 地域の情報に精通し、実績豊富な会社か
  • 担当者が親身で、信頼できる対応をしてくれるか
  • 査定の根拠を明確に説明してくれるか
  • 媒介契約の種類(一般/専任/専属専任)の違いを理解した上で選ぶ


実家売却で注意したいポイント|トラブルを未然に防ぐために

実家の売却は、スムーズに進めば理想的ですが、思わぬトラブルに発展するケースも少なくありません。よくある事例と、その対策を事前に把握しておくことで、安心して手続きを進めることができます。

  • 土地の境界線があいまいな場合、隣地とのトラブルにつながる可能性があります。
     👉 売却前に土地家屋調査士による「境界確定測量」を行っておくと安心です。
  • 契約内容の行き違いも注意が必要です。
     👉 売買契約書の内容は、専門用語を含めて一つひとつ丁寧に確認し、不明点は遠慮なく不動産会社に質問しましょう。
  • 売却後に不具合が発覚し、責任の所在で揉めることもあります。
     👉 建物の状態を正直に伝えるとともに、必要であれば「ホームインスペクション(建物診断)」を行い、契約不適合責任の
       範囲を明確にしておくことが大切です。

これらのポイントを押さえることで、売却後もトラブルなく、納得のいく取引が実現できます。

まとめ|実家の売却はライフプランに合わせた「前向きな選択」

実家を売却するかどうかは、感情だけでなく経済的・将来的な視点からも慎重に判断する必要があります。

  • 売却は資産整理の第一歩
  • 手続きは「市場調査 → 不動産会社選定 → 売却活動 → 契約・引き渡し」
  • 成功のカギは、適切な準備と信頼できるパートナー選び

次回は「実家を賃貸に出す」選択肢について詳しくご紹介します。どうぞお楽しみに。

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miwa
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