親から受け継いだ家、どうする?実家の処分と活用法
第3回 実家を賃貸にする前に知っておきたいこと | 収益化・空き家対策・管理のポイント
相続後に引き継いだ実家、使わないまま空き家になっていませんか?
「売却は避けたいけれど、自分で住む予定もない」──そんな悩みを抱える方が増えています。放置された実家は、固定資産税の負担や老朽化による損失だけでなく、防犯や地域環境にも影響を及ぼします。
そこで注目されているのが、「実家を賃貸に出す」という選択肢です。税金対策としての効果は限定的ですが、相続後の実家を収益化し、空き家を有効活用する方法として、多くの人が賃貸を検討しています。
そこで注目されているのが、「実家を賃貸に出す」という活用方法です。収益を得ながら資産価値を維持できる手段として、今、多くの方が選択肢に加えています。本記事では、実家を賃貸にするメリット・デメリット、具体的な手順や成功のポイントまでをわかりやすく解説します。
実家を賃貸にするのが向いているケースとは?
「実家を売るか、残すか」で迷っていませんか? 将来的に住む予定がなくても、実家を賃貸にすれば“収益化”という選択肢が見えてきます。ここでは、実家を賃貸にした事例と、向いている具体的に紹介します。
①:地方にある実家を賃貸に
40代の会社員・田中さん(東京都在住)は、数年前に父親が亡くなり、地元・新潟県にある実家を相続しました。田中さんには高校生と中学生の子どもがいて、今後も都内での生活を続ける予定です。
「将来子どもが住むかもしれないから売るのは避けたい。でも空き家のままだと維持費がかかるし、防犯も心配……」と悩んでいたところ、管理会社に委託して実家を賃貸に出すことに。今では安定した家賃収入を得ながら、資産も守れています。
②:単身世帯で実家を手放さず活用
50代独身の女性・中村さんは、両親の死後に相続した大阪の実家を持て余していました。現在は東京で仕事をしており、自身が高齢になった際にUターンする可能性も視野に入れていたため、売却には踏み切れず。
老朽化していたため最低限のリフォームを施し、家具付きの形で賃貸に出すことを決断。物件の魅力を高めたことで若い社会人が入居し、想定より早く借り手が決まりました。
以下のような方には、「実家 賃貸」は有効な活用方法です。
- 将来的に自分や子どもが住む可能性がある
- 売却せずに資産として保持したい
- 毎月安定した家賃収入を得たい
一方で、以下のケースでは慎重な判断が必要です。
- 空室率が高く、需要が少ない地域にある
- 建物の老朽化が進み、初期修繕費が高額になる
- 賃貸管理にかける時間や労力が確保できない
👉参考:国土交通省の【空き家対策特設サイト】では、空き家の現状と活用方法について詳しく紹介されています。
よくある勘違い:「賃貸に出せば相続税が安くなる」は本当?
「実家を賃貸に出せば、相続税も節税できるんですよね?」
そう考える方は多いですが、実はこの理解には注意が必要です。
相続税の評価額は、“相続が発生した時点”の状況で決まります。
つまり、相続してから初めて賃貸を始めても、すでに税額は確定しているため、相続税を減らすことはできません。
たとえば…
「実家を賃貸に出せば、相続税の節税になる」と思われがちですが、実際には相続税評価は“相続が発生した時点”の状態で決まるため、相続後に賃貸を始めても税額は変わりません。
たとえば、相続税の軽減策として知られる
● 小規模宅地等の特例 は、被相続人の生前の居住状況や、相続人の条件によって適用が決まります。
また、
● 貸家建付地としての評価減 も、相続開始時点で実際に建物が他人に貸されていた場合に限られるため、空き家だった実家は評価減の対象になりません。
これらの制度は、相続税対策としては非常に有効ですが、生前からの準備が不可欠です。すでに相続が発生している場合は、節税よりも「収益化」や「空き家管理」の観点で賃貸を検討しましょう。
実家を賃貸にするまでの流れ
実家を賃貸に出すと決めたものの、「どこから手をつければいいのか分からない」「トラブルが起きたらどうしよう」と不安を感じる方は少なくありません。家賃設定のミスや管理体制の甘さが、空室や滞納、近隣トラブルにつながることもあります。実家を賃貸にするには、事前の市場調査や契約条件の見直し、管理方針の決定など、段階的な準備が欠かせません。この章では、トラブルを避けながら実家を安心して貸し出すための具体的な流れをご紹介します。
1. 市場調査と家賃の設定
- 近隣の賃貸物件と比較し、適正な家賃を設定
- 維持費・固定資産税などのコストも考慮
👉【LIFULL HOME’S 家賃相場ページ*】で地域ごとの相場を簡単にチェックできます。
2. 管理方法を選ぶ
- 自主管理:入居者募集・契約・修繕などを自分で行う
- 管理会社へ委託:月額5〜10%の手数料で対応を任せられる
3. 入居者募集
- 地元の不動産会社に依頼
- 賃貸サイト(SUUMO・アットホーム等)やSNSでの発信も有効
4. 契約と入居手続き
- 入居審査(保証人や収入確認)
- 賃貸借契約の締結、敷金・礼金の受領
5. 賃貸管理・トラブル対応
- 家賃回収
- 修繕・クレーム対応
- 退去時の原状回復と精算
賃貸を成功させる3つのポイント
実家を賃貸に出すなら、「貸せば終わり」ではなく、安定した運用につなげる工夫が欠かせません。空室リスクやトラブルを避けるには、事前の準備と継続的な管理が重要です。ここでは、実家を賃貸物件として成功させるために押さえておきたい3つのポイントを解説します。
✅ 物件の魅力を高める
- クリーニングや最低限のリフォームで印象アップ
- 家具・家電付きの貸出で需要増を狙う
✅ 空室対策を講じる
- 家賃設定は相場に合った適正価格に
- 短期契約やマンスリーマンションの形も検討
✅ 管理会社の活用を検討する
- 遠方に住んでいる場合は特に有効
- 緊急対応や契約更新なども任せられる
まとめ:実家を賃貸にするかどうかは総合的に判断を
「実家 賃貸」は、収益化を図る一方で管理の手間や空室リスクも伴います。地域の需要、市場動向、自分の生活状況を踏まえた上で、賃貸・売却・空き家管理といった複数の選択肢を比較することが大切です。
次回の記事では、「実家を民泊にする!場合のメリット・デメリット」について詳しく解説いたします。
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