
ちゃんと伝えた“つもり” 第4回 あれだけ説明したのに伝わらない理由
「あれだけ説明したのに」と思ったことはありませんか
「説明したのに伝わらない」と思ったことはありませんか。
説明する仕事をしている人ほど、「漏れなく伝えなければ」と思いがちです。
私も仕事で、宅地建物取引士や司法書士、税理士など、さまざまな専門職の方々とご一緒することがあります。
特に宅地建物取引士は、重要事項説明という大切な役割を担う仕事です。そのため、「漏れなく説明する」という意識がとても高く、営業の場面でも一つひとつ丁寧に説明される方が少なくありません。聞いているこちらが疲れてしまうほど、細かく説明されることもあります。
その様子を見ながら、私はいつも思うことがあります。
人は、説明された順番どおりには理解しないということです。
説明したのに伝わらない理由は「理解の順番」にある
もちろん、お客様は話を聞いていないわけではありません。ちゃんと聞いています。ただ、自分が必要だと思うこと、自分が知りたいことに意識が集中しています。
「結局いくらかかるのか。」
「私は何をすればいいのか。」
「いつから始まるのか。」
そんな答えを探しながら話を聞いています。
だから、それ以外の説明も耳には入っています。でも、自分に必要だと感じなかった情報は、聞いていても記憶に残りにくいのです。
私はこれまで何度も、お客様と担当者の認識が食い違う場面を見てきました。担当者は「あれだけ説明した」と思っています。お客様は「そんな話は聞いていない」と思っています。
どちらかが間違っているわけではありません。同じ話を聞いていても、受け取っている情報が違うのです。
私は「理解の順番」を設計しています
この経験から、私は研修や相談、講演でも、最初からすべてを説明することはほとんどありません。
まずは全体の流れだけを、短くお伝えします。
そして、「それはどういうことですか。」「私はどうしたらいいのですか。」そんな質問が自然に出るように、話の順番を考えています。
しっかり理解していただきたいところほど、最初から細かく説明しません。
興味を持っていただけるように、少しだけ「気になる材料」を入れておきます。
人は、「知りたい」と思った瞬間から話を聞き始めます。そのタイミングで説明したことは、理解につながりやすく、記憶にも残りやすいのです。だから私は、「何を話すか」よりも、「どんな順番で理解していただくか」を大切にしています。
理解は「質問」ではなく「行動」で確認する
もう一つ、私が意識していることがあります。
それは、「何か質問はありますか。」で終わらせないことです。
「質問はありません。」
そう答える方は少なくありません。でも、それは理解できたという意味ではありません。何を質問すればいいのか、まだ自分の中で整理できていないことも多いからです。
私がよく使うのは、「では、このあと最初に何をされますか。」「まず何から始めますか。」という質問です。
相手の答えを聞くと、どこまで理解できているのかが分かります。もし認識が違っていれば、その場で修正できます。説明を繰り返すより、お互いが安心できる時間になることが少なくありません。
「伝えたつもり」にならないために
もし「あれだけ説明したのに」と思うことがあったら、一度だけ立ち止まってみてください。
相手は聞いていなかったのでしょうか。
それとも、自分が必要だと思うことと、相手が必要だと思うことが違っていただけなのでしょうか。
私が意識していること
- 相手が知りたくなる順番で話を組み立てる
- 最初からすべてを説明しようとしない
- 「それはどういうことですか?」という質問が出る余白をつくる
- 相手が次に何をするかを、自分の言葉で話してもらう
- 「説明した」ではなく、「行動できる状態になったか」を確認する
まとめ|伝える前に「知りたい」をつくる
「あれだけ説明したのに。」そう思う場面は誰にでもあります。
でも、人は聞いたことをそのまますべて理解できるわけではありません。自分に必要だと思ったことから理解し、聞いていても必要だと感じなかった情報は記憶に残りにくいものです。
だから私は、説明することよりも、「知りたい」と思ってもらうことを大切にしています。
伝えるとは、たくさん話すことではありません。相手が受け取りたくなる状態をつくることです。そして、相手が自分の言葉で質問し、自分の言葉で次の行動を話せたとき、初めて「伝わった」と言えるのだと思います。
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ブログ:ちゃんと伝えた“つもり”シリーズ
第2回 良かれと思っていたのに
第3回 私ばっかりが苦しくなる理由
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