
「出しすぎ・見落とし」に注意。進路アドバイザーが教える共通テスト利用入試の賢い向き合い方
はじめに|締切と入学金が、もう目の前に来ています
年末が近づくこの時期、保護者の方から最も多く聞く言葉があります。
「共通テスト利用入試、そろそろ締め切りですよね?」
「とりあえず出せるところは、すべて出した方がいいですよね?」
確かに、共通テスト利用入試は大学独自試験を受けず、共通テストの得点のみで判定される方式であり、併願の選択肢として非常に使いやすい制度です。
しかし、私自身の経験(娘の受験時)や進路相談の現場を振り返ると、ここには一つ大きな落とし穴があります。それは、不安のあまり「保険」として出願数を増やしすぎてしまうことです。
この時期、冷静さを欠いたまま出願を重ねてしまうと、後から思わぬ負担に直面することになります。
たとえば――
- 多くの私立大学では、方式によって**共通テスト本番より前に出願締切が設定される「事前出願」**があること
- 合格発表が早い方式では、本命校の試験前に入学申込金(一般に20〜30万円程度)の納付期限が来ること
進路相談の現場でも、
「手続きがこんなに早く来るとは思わなかった」
「気持ちの整理がつかないまま、数日で数十万円の判断を迫られた」
という声を、毎年のように耳にします。
この記事では、共通テスト利用入試をめぐって保護者がやりがちな5つの勘違いを整理します。
年末の今だからこそ、落ち着いて判断するための視点を持っていただくために。
勘違い① 共通テスト利用入試は「安全な入試」だと思っている
会場に行く必要がなく、試験当日の負担も少ないため、共通テスト利用入試は「滑り止めとして安心」と受け取られがちです。
しかし実際には、高得点者同士による非常にシビアな競争になりやすい入試です。
- 募集定員が一般入試より少なく設定されていることが多い
- 独自試験がない分、わずかな点差が合否に直結しやすい
- 年度や学部によっては、倍率や合格最低点が想定以上に高くなる
「出願しやすい」ことと、「合格しやすい」ことは、全く別物です。
勘違い② 共通テスト利用はどこも同じだと思っている
同じ「共通テスト利用入試」という名称でも、その中身は大学・学部・方式ごとに大きく異なります。
- 3科目型/5科目型など、科目数の違い
- 英語重視型/均等配点型など、配点比率の違い
同一大学・同一学部であっても、方式選択を一つ誤るだけで、同じ得点でも合否が分かれることがあります。
お子さまの得意科目が、最も評価される配点になっているか。出願前の確認が欠かせません。
勘違い③ 受けた科目は「すべて使える」と思っている
「勉強はしているのに、制度(出願条件)で落ちる」――これは、進路相談の現場で最ももったいないと感じるケースです。
- 理科が「基礎2科目」か「専門1科目」かの指定ミス
- 国語の評価範囲(古文・漢文を含むかどうか)の見落とし
- 英語リーディングとリスニングの配点比率の確認不足
事前のリサーチ不足が、出願後の「判定対象外」を招くこともあります。
勘違い④ 自己採点結果を「100%正しい」と信じ込んでいる
共通テスト利用入試の出願戦略は、自己採点結果をもとに立てることになります。
ただし、マークミスや配点換算の誤りなどにより、数点程度の誤差が生じることは珍しくありません。
実際の合否判定は、大学入学共通テストの公式成績をもとに行われます。
自己採点での判定はあくまで目安と捉え、特にボーダー付近では**±5点程度の幅を想定した冷静な判断**が必要です。
勘違い⑤ 親が心配するほど「声をかけた方がいい」と思っている
保護者の不安が強くなると、
「大丈夫?」
「どこか一つは受かるよね」
と声をかけたくなるのは自然なことです。
しかし、それらの言葉は、受験生にとって期待という名のプレッシャーになることもあります。
この時期の親の役割は、答えを出すことではありません。
受験生が自分で考えるための時間と余白を守ること――それが最大の支援になる場合も多いのです。
進路アドバイザーとして年末に一番伝えたいこと
出願は戦略、合否は結果。人生は、合格発表のその先まで続いていく。
共通テスト利用入試は、使い方次第で心強い味方になります。
不安から「とりあえず」と出願を重ねるのではなく、
**「合格した場合、その大学に進学する覚悟(と入学金の準備)があるか」**を、一度立ち止まって考えてみてください。
保護者ができる最大の支援は、制度を整理し、お子さまの感情を静かに受け止めることです。
まとめ
- 共通テスト利用入試は「簡単な入試」ではなく、シビアな得点勝負
- 入学申込金の納付時期まで含めて、全体のスケジュールを把握することが重要
- 親が冷静でいることが、受験生にとって最大の安心材料になる
年末年始は、どうしても気持ちが前のめりになりやすい時期です。
だからこそ一度立ち止まり、制度と適切な距離を取る視点を持っていただけたらと思います。
有限会社オールバーグでは、合格だけで終わらない、その先の人生設計まで見据えた進路・キャリアの考え方を大切にしています。
補足コラム|「自己採点の確認目的」で私大の共通テスト利用を出すのはアリ?
以前、ある国立大学志望の学生から、こんな話を聞きました。
私大に共通テスト利用で出願し、もし合格すれば 「自己採点は間違っていなかった」と確認できると思った
発想としては、とても真面目で合理的に見えるかもしれません。しかし、進路アドバイザーの立場からお伝えすると、この方法は「自己採点の正確さを確認する手段」としては適切ではありません。
理由はシンプルです。私立大学の共通テスト利用入試は、
- 大学ごとの配点換算
- 科目の重みづけ
- 合格最低点や倍率 といった独自基準で合否が決まります。
そのため、
- 自己採点に多少のズレがあっても合格することもある
- 自己採点が正確でも不合格になることもある ということが、普通に起こります。
つまり、 「私大に受かった=自己採点が正確」ではありません。
さらに注意したいのは、私大合格によって 「大丈夫そうだ」と気持ちが緩み、二次試験対策や出願戦略が甘くなってしまうケースです。これは、国立大学志望者にとってはむしろリスクになります。
自己採点の確認は、
- 学校や予備校など複数ルートでの照合
- ±5点程度の誤差を前提とした判断
- 最終的には公式成績を基準にする という、王道の方法で行うのが安全です。
私大の共通テスト利用入試は、 「確認のため」ではなく、 **「合格したら進学する可能性がある選択肢」**として出願する。
それが、後悔の少ない向き合い方だといえるでしょう。
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