FUBAR

「その歳なりの美しさ」を受け入れるということ

「その歳なりの美しさ」とは、何でしょうか。
若い頃には「もっと大人っぽく見られたい」と背伸びし、年を重ねれば「もっと若くありたい」と願ってしまいます。
周囲の同年代と比較して、自分だけ取り残されているような気持ちになることもあります。

「この年代ならこうあるべき」というステレオタイプに自分を当てはめて、思うように生きられていない自分を責めてしまう。
でも、本当は誰一人として、同じ生き方をする必要はありません。
美しさも魅力も、年齢も、生き方も、それぞれのペースで変化しながら重なっていくものです。

アーノルド・シュワルツェネッガーという人物

そんなことを考えていたときに、Netflixのドラマ『FUBAR(フィーバー)』を観ました。
主演はアーノルド・シュワルツェネッガー。

※アーノルド・シュワルツェネッガー(Wikipedia):https://ja.wikipedia.org/wiki/アーノルド・シュワルツェネッガー

アーノルド・シュワルツェネッガーといえば、オーストリア出身の元ボディビルダー、ハリウッドスター、そして政治家という異色の経歴を持つ人物です。1970年代にはミスター・オリンピアとして名を馳せ、1980〜90年代には『ターミネーター』シリーズをはじめとする数々のアクション映画で一世を風靡しました。

そして2003年、彼はカリフォルニア州知事に就任。当初は驚きを持って受け止められましたが、2期にわたって州政を担い、多くの課題に向き合いました。一度俳優業を離れ、政治というまったく異なるフィールドで自らの役割を果たした後、再び演技の世界に戻ってきた彼は、以前とは違った“人生の深み”をまとっているように感じられます。

Netflixドラマ『FUBAR』とは?アクションと家族の再生を描く物語

このドラマの中で彼は現役引退間近のCIA工作員ルークを演じています。 最後の任務で派遣された先で、自分の娘も同じくCIAエージェントであることを知り、互いに秘密を抱えたまま、親子でミッションに挑む──アクションと家族ドラマが交錯するスパイ・コメディです。

年齢を重ねたシュワルツェネッガーが演じるルークには、かつての筋肉頼りのヒーロー像とは違った魅力があります。
経験に裏打ちされた落ち着きや、自身の衰えを認めながらも戦い続ける姿が、今だからこそ出せる“渋さ”として滲み出ています。
『FUBAR』公式ページ(Netflix)

年齢とともに変化するライフロール

私たちはつい、「もっと若かったら」と思いがちです。
でも、本当に大切なのは「今の自分にしかできないこと」を知ることではないでしょうか。

この考え方は、キャリア理論の一つであるドナルド・E・スーパーのキャリア発達段階説とも重なります。

スーパーは、人生を次の5つの段階に分けています。

  1. 成長(〜14歳)
  2. 探索(15〜24歳)
  3. 確立(25〜44歳)
  4. 維持(45〜64歳)
  5. 離脱(65歳〜)

『FUBAR』のルークはまさに「維持」から「離脱」へと移行する過渡期にいる人物です。
「もう引退すべきなのか」「まだ必要とされているのか」と葛藤しながらも、“今の自分”を懸命に生きています。

仲よしシニア


とはいえ、現代のキャリアはもっと柔軟で長い

ただし、スーパー理論は「定年60歳・余生は引退生活」という前提で作られた理論です。
人生100年時代の今、私たちのキャリアはもっと長く、もっと複雑です。

たとえば、

  • 生活のために、70代でも働き続ける人
  • 子育てや介護を経て、50代で再スタートを切る人
  • 自分らしい生き方を模索して、60代で新たな挑戦を始める人

いまやキャリアは「一直線のステージ」ではなく、再挑戦・再構築の連続になっています。
つまり、スーパーの理論における「探索」や「確立」といった段階は、人生の後半にもう一度巡ってくるのです。

誰もが自分のステージで主役になれる

若い頃は挑戦する人、中年期は支える人、シニア世代では見守る人。
そうした「ライフロール(人生の役割)」は変わっていきますが、どのステージでも、私たちは“主役”であることに変わりはありません。

アーノルド・シュワルツェネッガーも、かつての「最強ヒーロー」から、「不器用でも人間味のある父親スパイ」へと役柄を変えながら、今もなお輝いています。

私たち自身もまた、「今の自分にしかできないこと」を見つけながら、生きる舞台に立ち続けていきたいと思います。

まとめ:今の自分を信じて歩み続ける

年齢を受け入れることは、あきらめることではありません。
むしろ、今の自分だからこそできる役割を果たすチャンスなのです。

人生100年時代、キャリアは“長く続く旅”になりました。
だからこそ、「今、自分はどんな役を演じているのか?」と問いかけながら、新しい一歩を踏み出していきたいと感じます。

シュワルツェネッガーのように、私たちも年齢を重ねることでしか得られない役割を、誇りを持って生きていけたら素敵ですね。

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miwa
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