
ニュースで磨く判断力 Vol.1|熱中症のニュースから考える「備える」という判断
毎日のように、熱中症への注意を呼びかけるニュースが流れています。
総務省消防庁によると、2026年7月6日から12日までの1週間に、全国で4,580人が熱中症により救急搬送されました。数字だけを見ても、この暑さを「例年のこと」と軽く考えるのは難しくなっています。
水分を取る。エアコンを使う。暑い時間帯の外出を控える。どれも大切な熱中症対策です。
ただ、このニュースを見ながら、私は別のことを考えていました。
約2万円の空調服を買うべきだろうか。
熱中症対策に2万円を使うか
空調服は、決して安い買い物ではありません。
「何回使うだろう」「今年だけで終わるかもしれない」「今あるもので何とかなるのではないか」。そう考えると、なかなか購入には踏み切れません。
一方で、暑い日に外へ出る仕事や移動はあります。もし熱中症になれば、体調を崩すだけでなく、仕事を休むことになるかもしれません。
家族や周囲にも心配をかけます。
こうして考えてみると、今回判断したいことは、単に「空調服を買うか、買わないか」ではなさそうです。
判断に迷ったとき、最初に整理すること
私は相談を受けるとき、すぐに答えを出そうとはしません。
その人にとって何が正解なのかは、目的や置かれている状況によって違うからです。まずは「何について判断しようとしているのか」を整理します。
今回の空調服についても、次の4つに分けて考えてみます。
1.何を守るための判断なのか
空調服を買う目的は、涼しく過ごすことでしょうか。
それとも、熱中症を防ぐこと、仕事を休まずに続けること、外出後の疲れを減らすことでしょうか。
目的が「少し快適に過ごしたい」であれば、2万円を高いと感じるかもしれません。しかし、「健康や仕事を守りたい」と考えるなら、同じ2万円でも見え方は変わります。
判断するときには、「何を買うか」より先に、何を守りたいのかを確認する必要があります。
2.選択肢を二つに絞っていないか
迷うとき、私たちは無意識に「買うか、買わないか」という二択で考えがちです。
しかし、選択肢はほかにもあります。
外出する時間を朝や夕方に変える。暑い時間帯の予定を組み替える。外での仕事そのものを減らす。必要な日は空調服を借りる。まずは価格を抑えた商品を試す。
図書館などの公共施設で暑い時間帯を過ごす方法もありますが、それだけでは仕事や移動の暑さは解決しません。
大切なのは、一般的な対策を並べることではなく、自分が困っている場面に合う選択肢を増やすことです。
3.何と何を比べているのか
空調服を買うか迷ったとき、目の前に見えるのは「2万円」という価格です。
けれども、比較するものは価格だけではありません。
熱中症になって仕事を休む可能性。体調を崩して予定を変更する負担。暑さで集中力が落ちること。回復するまでに必要な時間。
2万円と0円を比べれば、買わない方が安いのは当然です。
しかし、2万円と、体調を崩したときの負担を比べるならどうでしょう。
何と比較するかによって、判断の答えは変わります。
4.今すぐ決めなければならないのか
判断には、「買う」「買わない」だけでなく、今は決めないという選択もあります。
必要になる場面をもう少し具体的に考えてから決める。何度か暑い日の予定を経験してから判断する。別の対策を試し、それでも不十分なら購入する。
ただし、先延ばしと「今は決めない」は同じではありません。
決めないのであれば、「何を確認したら決めるのか」「いつまでに判断するのか」を決めておく必要があります。
そうでなければ、迷っている間に暑い時期が終わるか、必要な場面で間に合わなくなってしまいます。
判断力とは、正解を当てることではない
熱中症のニュースを見て、「水分を取りましょう」「エアコンを使いましょう」と確認するだけなら、この記事でなくても読むことができます。
この連載で考えたいのは、その先です。
ニュースを自分の暮らしや仕事に置き換えたとき、自分にはどのような判断が必要なのか。何を守り、何と比較し、どの選択肢を取るのか。
判断力とは、最初から正解を知っていることではありません。
目的や選択肢、負担、決める時期を整理し、自分が納得できる答えを選ぶ力だと、私は考えています。
オールバーグの判断メモ
判断に迷ったときは、次の4つを整理してみてください。
- 何を守るための判断なのか
- 選択肢を二つに絞っていないか
- 何と何を比べているのか
- 今すぐ決める必要があるのか
答えが見つからないのではなく、判断するための材料が、まだ整理されていないだけかもしれません。
今週の問い
今、あなたが迷っていることは何でしょうか。
それを「するか、しないか」だけで考えず、まずは何を守りたいのか、ほかにどのような選択肢があるのかを整理してみてください。
ニュースは毎日流れていきます。
この連載「ニュースで磨く判断力」では、ニュースを解説して終わるのではなく、ニュースをきっかけに、仕事や暮らしの中の判断を一緒に整理していきます。
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投稿者プロフィール

- 有限会社オールバーグ代表。企業・学校で27年以上、延べ1万人以上の人材育成に携わる。「人生の判断に、納得を。」をテーマに、自分で考え、納得して判断するためのヒントを発信しています。
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