
第5回:実家の処分で気をつけたい“お金の落とし穴”
はじめに|「空き家になる実家」に潜むお金の問題
親の介護や相続をきっかけに、「実家の処分にかかるお金」に悩む人は少なくありません。売却、賃貸、維持管理──どの選択肢にも、思った以上にお金がかかります。
今回は「実家の処分にかかるお金」や「見落としがちな費用」について、FP視点からお伝えします。
1.実家の処分にかかるお金の種類と目安
不動産売却にかかる費用
- 不動産仲介手数料(上限:物件価格の3%+6万円+税)
- 例:2,000万円の物件で約72万円(税込)
- 国土交通省|不動産取引に係る仲介手数料について
- 登記費用(抵当権抹消や所有権移転)
- 約3万〜10万円
- 測量・境界確認費用
- 約20万〜50万円(必要な場合)
実際に「思ったより手元に残らなかった」という声が後を絶ちません。
解体・整地費用(空き家を更地にする場合)
気を付けてほしいのが、庭の処分。
- 木造住宅の解体:1坪あたり3〜5万円が相場
- 延床30坪の住宅で約90万〜150万円
- 廃棄物処分費や整地費用も含めると、総額150万円超になることも

【追記】日本庭園・庭石の処分費用にも注意
日本家屋には立派な庭が残っていることも多く、以下のような処分費用がかかる場合があります:
庭石の撤去費用:1個あたり1万円〜3万円が相場(大きさ・重機の使用有無により変動)
灯籠・石像などの撤去:1基あたり3万〜10万円程度
庭木の伐採・抜根:1本あたり5,000円〜3万円程度(種類と大きさによる)
全体の整地・撤去費用合計:庭全体を撤去・整地する場合、20万〜100万円以上かかることも
「庭があるから解体費用が高くついた」という声も多く、特に石や構造物が多い場合は見積もりを早めに依頼しておくことが大切です。
相続登記や名義変更
- 司法書士報酬を含めて、5万〜10万円程度
固定資産税と都市計画税
- 年間10万〜20万円が目安(地域と評価額による)
- 空き家特例(住宅用地の軽減措置)は更地にすると解除され、税額が最大6倍になる可能性あり
- 【補足】空き家が「特定空き家」に指定されると、軽減措置が適用されず課税額が大幅に上がる恐れがあります(政府広報オンライン)
売却益が出た場合の税金(譲渡所得税)
- 取得費が不明な場合、売却額の5%しか控除できず、課税対象が大きくなるケースあり
- 国税庁|マイホームを売ったときの特例(3,000万円控除)
- 【補足】空き家を相続した場合、この特別控除が使えるのは「相続から3年10ヶ月以内に売却」など、一定条件を満たす必要があります
2.実家を「貸す」場合の注意点
賃貸に出すにはリフォームが必要になることも
- 水回りや内装の修繕費:50万〜200万円程度
- 家具家電を撤去する費用:約10万〜30万円
家賃収入があっても、固定資産税や保険、修繕積立で目減りする
- 火災保険(貸家用):年間2〜3万円
- 修繕積立:月1万〜2万円程度の積立が目安
見落とされがちな「管理・維持費」
空き家の維持管理にもお金がかかる
- 月1回の見回り・通風・草刈り:1回あたり5,000円〜1万円
- 庭木の剪定や害虫駆除:年間5万〜10万円
- 郵便物の転送やポスト整理の手間
「売るつもりだったけど、しばらく放置していたら劣化が進み、売却価格が下がってしまった」というケースも。
実家の処分にかかるお金は「思った以上」を前提に準備を
実家の処分には、売って終わりではないお金がかかります。
- 売却には仲介手数料・測量・税金が発生
- 解体には100万円以上の費用がかかることも
- 空き家のままでも、維持費・管理費は継続的に発生
- 条件によっては固定資産税の負担が跳ね上がるケースも
そのため、まずは次のステップから始めてみましょう:
- どの選択肢(売却・賃貸・保有)に可能性があるかを整理
- 概算費用を見積もってみる
- 専門家(FP・不動産会社・司法書士など)に相談
早めに選択肢を整理し、信頼できる人と相談することで、ムダな出費や思わぬトラブルを防げます。
このページでわかること
- 実家の処分にかかるお金の目安
- 賃貸や管理に必要な維持コスト
- 見落としがちな費用と注意点
- 空き家の放置によるリスクと税制の影響
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