
第1回|お金の不安がなくならない理由
将来のお金のことを考えると、なんだか落ち着かない。そんな経験はありませんか?
老後の生活費、子どもの教育費、親の介護費用……。
考え始めると不安は次々に押し寄せ、「このままで大丈夫かな?」と夜眠れなくなる人も少なくありません。
けれど、よくよく話を聞いてみると、その多くは「漠然とした不安」であることが多いのです。
今回は、お金の不安がなぜ消えないのか、その背景にある構造や心理について解き明かします。
情報が多すぎる時代に生きている
テレビ、SNS、YouTube、書籍……。
私たちは日々、膨大な「お金」に関する情報にさらされています。
「老後に2000万円必要」
「投資しないと損をする」
「保険に入っていないのは危ない」
こうしたメッセージは、多くの人の不安を煽る形で届けられています。
情報が多すぎると、自分にとって必要な情報を取捨選択するのが難しくなり、逆に不安が強まってしまうのです。
感情と数字のズレがある
たとえば、ある30代の女性は、定期的に貯金もしており家計も黒字でしたが、漠然とした不安から「もっと働かないと」「節約しないと」と追い詰められていました。
ご主人のお小遣いを1万円まで削り、そのせいで夫婦仲がギクシャクしてしまっていたのです。
じっくり話を聞いてみると、彼女は塾講師の経験があり、子どもにお金がかかる現実を肌で知っていました。
そのため、「子どもが進学する頃にいくら必要なのかがわからない」という点が、不安の根っこにあると分かりました。
数字を“見える化”してみたところ、「今から備えれば大丈夫かもしれない」と少し気持ちが軽くなったそうです。
たとえば家計簿をつけたり、FPに相談したりして「十分足りている」と言われても、どこか心の奥で「それでも不安…」という感情が残ることがあります。
これは、脳が「未来の不確実性」に過剰反応してしまうため。
つまり、不安は“数字”ではなく“感情”の問題でもあるのです。

お金の不安はなぜ強まるのか?
お金の不安は、コントロールできない未来に対するものが多いです。
- 病気になったらどうしよう
- 子どもの教育費がどれだけかかるかわからない
- 親の介護にどれだけ費用が必要かわからない
こうした「わからない・見えない」が、漠然とした不安を強めます。
だからこそ、第一歩は「不安の正体を知ること」。
日本銀行の「生活意識に関するアンケート調査」でも、多くの人が「将来の生活に対する漠然とした不安」を抱えていると回答しています。
👉 日銀|生活意識アンケート
自分が何に不安を感じているのかを見える化するだけで、気持ちが少し楽になることも多いのです。
不安の正体を知ることが“安心”の第一歩
あなたは、何に不安を感じていますか?
その“モヤモヤ”には、必ず理由があります。
まずは、思い浮かんだ不安を紙に書き出してみましょう。
たったそれだけでも、不安の輪郭が見えてきます。
「見えない不安」よりも、「見える不安」のほうが、ずっと対処しやすいのです。
▶ 次回は「人生に必要なお金を“見える化”する方法」について、具体的な方法をご紹介します。
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