
ChatGPTの“命令書”に学ぶ!仕事で使える正しい指示の出し方
はじめに:AI講座での気づきがヒントに
最近、あるAI講座で「プロンプト(命令文)の書き方」を学ぶ機会がありました。
その中でふと気づいたのです。
「これ、人に指示を出すときも、まったく同じじゃないか」と。
この気づきは、正しい指示の出し方や伝わる指示を意識するうえで大きなヒントになりました。
AIに対して「何を、どういう前提で、どんな形で出力してほしいか」をきちんと伝えなければ、期待した答えは返ってきません。
それは、部下や学生に何かを頼むときも同じ。むしろ、人間のほうが前提や背景に影響されやすく、**「伝わっていないのに伝えたつもりになる」**というミスが起きやすいのです。
そこで今回は、正しい指示の出し方について、AIへの命令文=プロンプト思考の構造をヒントに考えてみます。この記事を通じて、伝わる指示の出し方やプロンプト思考の実践方法を一緒に整理しましょう。
なぜ指示が伝わらないのか?
まず最初に、正しい指示の出し方がなぜ難しいのか、その原因を見てみましょう。
指示が伝わらない理由の多くは、「構造」が欠けていることにあります。たとえば、以下の3つの要素が揃っていないと、相手は混乱します。
「結論」→「理由」→「具体例」の順で伝える
「5W1H」を抜かさない
「相手が“今どこにいるか”」を想像する
このような構造的な伝え方は、ChatGPTに正確な命令を出すときと共通しています。つまり、AIに学ぶことで、伝わる指示のヒントが見つかるのです。
ChatGPTと共通する「伝わる指示」の型とは?
では、AIに出すプロンプト(命令書)の具体例を見てみましょう。
あなたは「教育係」として行動してください。
【目的】部下が業務を正しく理解できるようにする。
【対象】入社1年目の社員
【依頼内容】来週の社内プレゼンの資料を作ってください。
【追加要件】図表を使い、3分以内で説明できる構成にしてください。
このように、役割・目的・対象・依頼内容・要件を明確にすることで、AIは正確に応えてくれます。人に対しても同じように情報を整理して伝えると、格段に伝わりやすくなります。まさにこれがプロンプト思考です。

実践事例:「プレゼン資料作っといて」の落とし穴
それでは、実際の職場でよくある指示を例に考えてみましょう。
✖「来週のプレゼン資料、作っといて」
この一言だけでは、何の資料をどのように、誰のために、どんな目的で作るのかがまったく伝わりません。
では、「結論 → 理由 → 具体例」の構造で言い換えてみましょう。
〇「来週の社内報告会に向けて、5分間のプレゼン資料を作成してください(結論)。
目的は、今期の営業成果を役員に報告し、来期の方向性を明確にすることです(理由)。
対象は営業部長と経営幹部10名で、スライドは5枚以内、図表を使って成果と課題を見やすく整理してください(具体例)。
提出期限は金曜日の15時です。」
このように、
- What(何を):5分の社内報告用プレゼン資料
- Why(なぜ):成果共有と来期の方向性の明確化
- Who(誰に):営業部長と経営幹部
- When(いつまでに):金曜日15時
- How(どう作る):スライド5枚以内、図表を使用
という5W1Hを押さえることで、相手は“迷子”にならずに動くことができます。これこそが、伝わる指示を出すための基本です。
また、「相手が今どこにいるか」を意識することで、「初めての社内報告で緊張しているかもしれない」といった配慮も可能になり、サポートの声かけも自然に生まれます。
👉 関連記事:叱る技術を身につけよう!SBIQモデルで伝え方改革もご覧ください。
指示を丁寧に出すことで生まれる効果とは?
では、なぜここまで丁寧に伝える必要があるのでしょうか?
それは、自分と相手の「前提」が違うからです。
- 相手は自分のように全体像を把握していないかもしれない
- 指示された側は「何を、どこまで、どうすればよいのか」が不明瞭だと不安になる
「自分が見えているもの」をそのまま渡しても、相手には伝わらない。だからこそ、構造的に、相手目線で伝える必要があるのです。
正しい指示の出し方は、スキルです。そしてそれは、誰でも意識すれば身につけることができます。
まとめ:プロンプト思考で“伝わる”指示を
伝わる指示の出し方ひとつで、チームの動き方は大きく変わります。
「伝えたつもり」が起こるたび、自分の指示の出し方を見直してみましょう。
- 結論 → 理由 → 具体例の順で話す
- 5W1Hを含める
- 相手の現在地や理解度に配慮する
こうしたプロンプト思考を活かせば、人間関係も仕事の成果も変わっていくはずです。これこそが、正しい指示の出し方の実践です。
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