
支給停止された奨学金は復活できる?
―保護者が知っておきたい「休止」「停止」「廃止」の違いと対応策―
奨学金の支給停止と復活について不安を感じている保護者の方へ。
日本学生支援機構(JASSO)の奨学金は、停止になっても復活できるケースがあります。
この記事では、制度の仕組みと再開までの流れを、保護者目線でわかりやすく解説します。
制度の全体像はJASSO公式サイトが最も確実な一次情報です。
また、本記事は「【要注意】奨学金が突然ストップ!?支給停止・廃止の理由とリスクとは」の続編として、停止後の再開方法に焦点を当てています。
1.支給停止には3つの種類がある
奨学金が止まる理由は、大きく分けて次の3種類です。
<支給停止の種類と違い>
| 状況 | 名称 | 内容 |
|---|---|---|
| 一時的に停止 | 休止 | 休学・留学・病気など一時的に支給を止める手続き。復学後に再開可能。 |
| 成績などによる停止 | 停止 | 成績不振や単位不足など「適格認定」で基準未達。次回の認定で改善すれば再開可能。 |
| 奨学金資格の終了 | 廃止 | 退学・除籍・不正受給など。復活不可、場合によっては返還義務が発生。 |
「休止」や「停止」であれば、状況を整えれば再開できる可能性があります。
2.休学などで「休止」になった場合の対応
病気や家庭の事情などで一時的に休学する場合、奨学金は「休止」となります。
この場合は在籍校を通じて手続きを行えば、復学後に再開できます。手続きの詳細はJASSO「休止・復活」手続きページが参考になります。
対応の流れ:
- 休学前に「奨学金休止届」を学校に提出
- 復学時に「復活届」を提出
- 審査後、翌月から支給再開
給付型の場合は休止期間に制限がないため、比較的柔軟に再開できます。
一方、貸与型では在学期間全体での貸与期間に制限があるため、長期休学の場合は注意が必要です。
⚠️ 補足:貸与型奨学金の休止期間には上限があります。
貸与型奨学金では、休止期間が連続して2年(大学院で特に認められた場合は3年)を超えると、奨学生の資格を失い、辞退の手続きが必要となります。
これは在学期間全体の貸与上限に含まれるため、「長期休学の場合は注意が必要」という説明はこの制限を指しています。
(※給付型奨学金にはこの休止期間の上限はありません。)
3.成績不良などで「停止」された場合(大学・短大・専門学校の違いも)
奨学金が「停止」になる主な理由は、学業成績や出席状況が基準を満たさなかった場合です。
日本学生支援機構(JASSO)では、毎年度「適格認定(学業成績や意欲の確認)」を行っており、この判定で「基準未達」となると支給が一時的に止まります。
詳細はJASSO「適格認定の基準」をご確認ください。
▶ 「適格認定」とは?
<適格認定の評価基準>
| 判定項目 | 主な内容 | 対応の目安 |
|---|---|---|
| 成績基準 | 修得単位数・GPA(平均成績)が低い | 進級・卒業に支障がない水準を求められる |
| 修得単位数 | 1年間で30単位程度が目安(大学) | 短大・専門は10〜20単位/半期が目安 |
| 学修意欲 | 出席率・課題提出・授業態度など | 教員による評価が重視される |
| 在学状況 | 休学・退学・留年など | 状況により「休止」「廃止」に移行する場合あり |
※適格認定はJASSOが実施しますが、実際の評価・報告は学校側が行います。
▶ 大学・短大・専門学校の違い
<学校種別による再開タイミングの違い>
| 学校区分 | 判定タイミング | 成績評価の目安 | 再開までの期間 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 大学 | 年1回(主に春) | 年間30単位程度 | 翌年度の春以降 | 停止期間が長くなりがち。改善が確認できれば再開可。 |
| 短期大学 | 半期ごと(前期・後期) | 半期10〜15単位 | 次の半期から再開可 | 半年で復活できる場合がある。1年次前期の成績が特に重要。 |
| 専門学校 | 半期ごと(学校により年度単位) | 半期10〜20単位(または履修科目の7割以上) | 次の半期または翌年度再開 | 出席率・課題提出など「意欲」評価の比重が高い。 |
📌 ポイント
大学では「年度単位」での再認定が中心ですが、短大・専門学校では半年で再評価・再支給が可能なケースもあります。
「前期で停止 → 後期で復活」という流れも珍しくありません。
▶ 再開のために必要な条件
- 成績・単位数が前回より改善していること
- 出席率・提出物などの学修態度が改善していること
- 次回の適格認定で「継続相当」と判定されること
再開の判断には、学校側の推薦が大きく影響します。
お子さん自身が教務担当・奨学金担当に相談し、改善の意欲を伝えることが大切です。
▶ 停止から再開までの流れ(例)
- 支給停止通知を受け取る(貸与型は返還不要)
- 原因を確認・改善方針を立てる
- 学校に相談・改善報告を行う
- 次の適格認定で再評価を受ける
- 支給再開(通常は認定後1〜2か月)
▶ 保護者ができるサポート
奨学金停止は、学生本人にとって大きなショックです。
保護者としては「叱責」よりも、「立て直しのサポート」が効果的です。
家計の急変がある場合はJASSO「緊急・応急採用」制度も検討してみてください。
- ✅ 学業・生活リズムの立て直しを一緒に考える
- ✅ 通学や学習環境を整える
- ✅ 経済的に不安がある場合は「緊急採用」や「応急採用」も検討
- ✅ 「奨学金は再開できる可能性がある」と伝えて安心させる
📝 支給停止から復活を目指すためのチェックリスト
- ✅停止理由を把握している
- ✅学校の奨学金担当に相談した
- ✅成績・出席状況の改善計画を立てた
- ✅次回の適格認定時期を確認した
- ✅家計急変時の支援制度も調べた
4.「廃止」となった場合は原則復活不可
「退学」「除籍」「不正受給」「学業意欲喪失」と判定された場合は「廃止」となり、原則復活はできません。
給付型の場合、支給済み分の返還を求められるケースもあります。
ただし、経済状況が変化した場合には、別制度として新たに申請できる場合もあります(例:緊急採用・応急採用)。
5.復活のために保護者ができるサポート
お子さんが奨学金を止められたとき、保護者ができるのは「再出発の環境づくり」です。
支給再開の可否にかかわらず、次のサポートが有効です。
- 学業・生活リズムの見直しを一緒に支援
- 奨学金窓口への相談を促す
- 一時的な経済支援を検討(家計急変採用・教育ローンなど)
「一緒に立て直そう」という姿勢が、学生に安心感を与えます。
6.まとめ
奨学金の支給停止は「終わり」ではなく、「立て直しのチャンス」です。
- 「休止」や「停止」は再開のチャンスあり
- 「廃止」は復活不可だが、再申請制度あり
- まずは学校の奨学金担当窓口へ早めに相談を
焦らず制度を正しく理解し、学校と連携して再出発を支えていきましょう。
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