AI×人が創る職場コミュニケーションの最前線
第1回 AIで変わる「伝える力」──人間の役割はどこにある?


前シリーズ「伝わるコミュニケーション実践講座」では、
叱り方・指示の出し方・フィードバック・AI活用といった、
“人の言葉をどう届けるか”をテーマにしてきました。

この新シリーズ「AI×人が創る職場コミュニケーションの最前線」では、
AIが実際に職場でどう活用され、
人の伝える力とどう共存していくのか
──その“現場のリアル”を探っていきます。

AIは文章を作り、報告書をまとめ、会議の議事録まで整えるようになりました。
けれど、本当に伝わるかどうかは、人がどんな意図を添えるかにかかっています。

朝のミーティングでAIがまとめた議事録。
正確だけれど、どこか味気ない。
「この一文、なんだか冷たいね」──そんな小さな違和感が、いまの職場に広がっています。
ある企業では、AIが作成したメールの表現が原因で、顧客との関係がぎくしゃくした例もあります。
AIに任せきりにした“正しい言葉”が、思いがけず人の距離を遠ざけることがあるのです。

このシリーズでは、そうしたリアルな現場を題材に、
AIが生み出す“整った言葉”に、人が“意味と温度”を与える方法を考えます。


ChatGPTがもたらした“言葉の変革”

ChatGPTの登場で、ビジネスの文章作成は大きく変わりました。
メール文、報告書、企画書──AIは数秒で“整った言葉”を出してくれます。

たとえば、社内チャットでの連絡。
AIが提案する文面は正確でも、少し機械的です。

AI文面:「明日の会議資料は本日中に共有してください。」
人の文面:「明日の会議資料、本日中に共有お願いします!助かります。」

後者には“温度”があります。
相手を気づかい、協力を引き出す力。
AIが作るのは“文章”、人が作るのは“関係”です。


AIが得意なこと・不得意なこと

AIが得意なことAIが苦手なこと
情報整理・要約・言語変換感情の機微や文脈の読解
文章の構成提案・文法修正相手の立場に合わせた“温度感”
定型業務の自動化相手との信頼関係を築くやり取り

AIは「伝える作業」を助けるツールであり、「伝わる関係」を作るのは人の仕事です。


伝える力=“意味を与える力”

AIが生成する文章は、あくまで“素材”です。
そこに「なぜそれを伝えるのか」「誰にどんな気持ちで伝えるのか」を加えることで、言葉は“生きたメッセージ”になります。

伝える力=意味を与える力。
それは、相手の背景を想像し、自分の意図を込める力です。

研修現場でも、AIが作った文章を題材に「どうすればもっと伝わる表現になるか?」を考えるワークが効果的です。
たとえば、新入社員がAIで作った報告文を上司と一緒に読み直し、ひとこと「ありがとう」を加えるだけで、文の印象が変わる。
その瞬間、参加者は“伝わる言葉”とは何かを体感します。


事例:AIが作った文面を“温度”で整える

ケース:社内報告メール

AI文面:

「会議は予定通り終了しました。次回の予定は後日共有します。」

人が整えた文面:

「本日の会議、無事に終了しました。皆さんの意見で方向性が整理できました。次回の日程は追ってご案内します。ご協力ありがとうございました。」

前者は“伝達”、後者は“伝わる”。
一文の中に感謝と共感を込めることで、AI時代でも人の温度を届けることができます。


あなたのチームの「共感度」を測るチェックリスト

☐ ChatGPTなどAIツールで文章を下書きしているか
☐ 相手の立場に合わせて一文を加えているか
☐ 「目的」「相手」「感情」を意識して伝えているか
☐ AIの提案文をそのまま使わず、必ず自分の言葉を添えているか
☐ チームで“伝わる表現”を共有しているか


まとめ

AI時代の伝える力とは、機械では生まれない「温度を伝える力」
AIが文章を整え、人が意味を添える。
その一行の差が、信頼と成果を生み出します。

💬 テクノロジーと共感が共存するチームこそ、これからの“伝わる組織”です。

AIは報連相の“手間”を減らしますが、“質”を高めるのは人の力。
次回の第2回では、AI導入で変わる報連相の現場と、上司・部下が担う新しい役割を具体的に見ていきます。


次回予告

AI×人が創る職場コミュニケーションの最前線|第2回
「上司と部下をつなぐAI──報連相が変わる職場」へ続きます。

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miwa
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