外国人旅行者

福岡 オーバーツーリズムとホスピタリティの処方箋


はじめに|観光大国・日本の光と影

この記事は、イベント業務管理士1級として観光と地域の共存を学び、研修講師としてホスピタリティを伝える立場から、福岡市で今まさに起きているオーバーツーリズムの現象と、その背景にある課題・可能性について記したものです。

訪日外国人が急増し、日本の各地で「オーバーツーリズム」が問題視されています。
福岡市も例外ではなく、週末の糸島、天神の繁華街、志賀島など、かつて静かだったエリアにも変化が生まれています。

私たちが今考えたいのは、「観光を歓迎しながら、地元の暮らしを守る」こと。
その鍵を、福岡の現場から探ってみたいと思います。

トトロの森

エピソード①|糸島・トトロの森で気づかされた地元の魅力

アメリカから親戚が友達を連れて来福。
「トトロの森に行きたい!」 とのこと。私は「どこ?それ?」

芥屋にあるSNSで話題のスポットでした(参考リンク:トトロの森(芥屋の大門公園))。

ヤブツバキの木々がトンネルのように連なる小道は、まるでジブリのワンシーン。
海のない土地から来た彼らは、糸島の海と森の風景に感動し、まるで夢のようだと興奮冷めやらぬ様子でした。

外国人観光客の目を通して、私たちは自分たちの暮らす土地の価値に気づかされることがあります。


エピソード②|「土日は来ないで」糸島在住の友人の悲鳴

しかし、観光ブームには裏側があります。
糸島在住の友人から、こんなLINEが届きました。

「お願いだから、土日は糸島に来ないで……生活ができない」

休日になると、芥屋や二見ヶ浦方面は大渋滞。買い物にも出かけられず、家にこもるしかないとのこと。
観光による経済効果の裏で、地元住民が生活の質を奪われている現実があります。


エピソード③|観光客は“悪者”ではない

一方、天神や博多で出会う外国人観光客の多くは礼儀正しく、静かに行動している方がほとんどです。
実際に道を聞かれて案内した際、丁寧なお礼と笑顔を返されることが多く、「歓迎されたい」という気持ちも伝わってきます。

だからこそ、ほんの一部のマナー違反(ゴミの放置・大声・無断撮影)で、その国の印象全体が悪くなるのはしのびないのです。

私たち日本人も、日々の行動を通じて「よい見本」でありたいと思います。


福岡市百道

福岡市も直面するオーバーツーリズムの現実

福岡市は九州の玄関口として、観光客の受け入れ数が年々増加しています。2024年には福岡空港を通じて約340万人が入国し、九州への外国人旅行者の70%以上が福岡市に集中しました。これは市民の人口(約160万人)と比較しても非常に大きな数値であり、地域社会に多方面で影響を及ぼしています。

良い面|経済的恩恵と地域活性化

  • 観光客の消費によって、飲食・宿泊・交通・小売業が活性化。特にキャナルシティ博多や大名エリアでは、訪日客向けの売上が前年比120%以上となる店舗もあります。
  • 福岡市の宿泊税収入は2024年度、前年比25%増の約30億円に到達。これにより観光案内所の整備、トイレの多言語化、交通案内の強化が進められています。
  • 糸島エリアでは、SNSで紹介された「映えスポット」により農産物直売所や地元カフェが賑わい、地域経済に新たな循環が生まれつつあります。

悪い面|生活インフラへの圧迫と地域疲弊

  • 志賀島などでの慢性的な渋滞:救急車の到着遅延など、住民の生活に大きな支障。
  • 糸島での観光動線集中:週末は通常30分の移動が90分以上に。住民の移動が困難に。
  • 天神・博多エリアの混雑:公園や歩道の占拠で、通勤・通学時のストレスが増加。

これらの現象は、観光と日常生活の境界が曖昧な都市型観光地・福岡ならではの課題と言えるでしょう。


観光と生活の“分断”をどう埋めるか?

とはいえ、観光客の増加は、地域経済にとって大きな追い風です。
しかしその利益が、住民の暮らしや街のインフラ改善に十分還元されているでしょうか?

✅ 提案|お金の流れを「生活改善」にも使えないか?

  • 外国人観光客の観光消費税や宿泊税を、地域の交通整備・清掃人員増・公衆トイレ改善などに直接活用できる仕組みを
  • 観光と生活が共に豊かになる、「共存型の循環モデル」を構築するべきでは?

「ホスピタリティ」は、譲歩ではなく誇りの表現

私たちが目指す“おもてなし”とは、ただ尽くすことではなく、規律と秩序を守りながら、人を迎えること

たとえば——

  • 電車内で静かに過ごす
  • ゴミを持ち帰る
  • 観光客に困っている様子があれば一声かける

その結果、こうした日々の振る舞いが、無言のホスピタリティとして観光客に届きます。


終わりに|福岡の未来に向けて、あなたはどう考えますか?

福岡は“次の京都”になる前に、手を打てる都市です。
暮らしと観光、どちらも諦めない。そのためにまず、「わたしたちの暮らしを守る姿勢」から始めましょう。

魅力あるまちづくりの主役は、住民一人ひとりの意識と行動です。


あなたへの問いかけ

  • あなたにとってのホスピタリティとは何ですか?
  • あなたの街では、観光客とどう共存していますか?

福岡の未来のために、私たち一人ひとりができることについて、ぜひあなたの考えをお聞かせください。


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miwa
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