
伝わるコミュニケーション実践講座
第3回 若手・ベテラン・経営層…立場別の叱り方と指示法
はじめに
「若手社員には細かく言わないと動かないのに、ベテランに同じように言うと反発される…」
「経営層への指示は、部下に伝えるのとは全然違う」
──立場が変われば、叱り方や指示の伝わり方も大きく変わります。
実際、ある人事コンサルの調査では「コミュニケーション不一致が離職理由の上位」に入っており、特に上司と部下の立場差による認識のズレが大きな要因とされています。
では、立場ごとにどう伝えればいいのでしょうか?
若手・ベテラン・経営層 立場別の特徴
① 若手社員
- 心理背景
・「失敗したくない」という不安が大きく、叱られると萎縮しやすい。
・承認欲求が強く、「褒められる⇔叱られる」の振れ幅で行動が変わりやすい。 - 失敗あるある
・抽象的な指示だと「分かったつもり」で動き、結果ミス。
・叱り方が強すぎると「自分は向いてない」と早期離職につながる。 - 響くフレーズ例
・「次はこうするともっと良くなるよ」
・「最初はみんなつまずくよ、次は一緒に工夫しよう」 - 叱り方:事実を示し「なぜ大事か」をセットで伝える。
- 指示法:手順・期限・優先度を明示。
② ベテラン社員
- 心理背景
・プライドが高く「自分のやり方が一番」と思っている。
・一方で「認められたい」という欲求も強い。 - 失敗あるある
・細かすぎる指示は「信用されていない」と感じて反発。
・叱り方が上から目線だと「長年やってきた自分を否定された」と受け止める。 - 響くフレーズ例
・「◯◯さんの経験は大事。その上で今回はこう工夫してもらえると助かる」
・「影響が出たので次回はチーム全体を意識して調整してほしい」 - 叱り方:人格を尊重しつつ「影響」を強調。「チーム全体にどう影響したか」を伝える。
- 指示法:「任せる領域」と「必ず守ってほしい条件」を切り分ける。
③ 経営層・管理職
- 心理背景
・「時間がない」「数字と成果で判断したい」という思考。
・現場の細かい事情は把握できないので「要点だけ欲しい」。 - 失敗あるある
・経営層に感情論で叱る=「時間の無駄」と切り捨てられる。
・指示が抽象的すぎると「結局どうすればいい?」となる。 - 響くフレーズ例
・「この方法ならコストを10%削減できます」
・「リスクは2点ありますが、対策済みです」 - 叱り方:原則として“叱る対象”ではなく“協働して改善策を考える相手”。
- 指示法:数字・リスク・成果で伝える。「◯%削減」「◯日までに」など具体的に。
事例で考える
ケース1:若手への叱り方
「昨日の資料提出が遅れたね。そのせいで会議の準備ができなかった。次からは前日の17時までに出してほしい」
ケース2:ベテランへの叱り方
「昨日の資料提出が遅れた。その影響で会議全体が15分遅れたよ。次回はチームの流れを意識して進めてもらえるかな?」
ケース3:経営層への指示
「この施策でコストが10%増える見込みです。別案では5%以内に抑えられます。どちらを優先しますか?」

ケース問題
あなたならどう伝えますか?
場面:あなたは30代の課長。入社20年以上のベテラン社員(50代)が、会議で決めた手順を無視して独自に進めてしまった。結果、チーム全体の進行が遅れた。
- A:「また自己流でやったんですか? 会議で決めた意味がないですよ!」
- B:「昨日の進め方は、会議で決めた手順と違っていました。その影響で全体の進行が遅れました。次回は合意した手順で進めてもらえますか?」
👉 Aは「否定と感情」が前面に出て、ベテランのプライドを傷つけやすい。
👉 Bは「事実+影響+改善依頼」で、尊重を保ちながら指摘できる。
改善のための3つの工夫
- 立場ごとの心理を理解する
- 若手=安心感と具体性
- ベテラン=尊重と影響
- 経営層=要点と数字
- 叱り方は“行動+影響+改善”に絞る
- 立場に関わらず、人格批判は避ける
- 指示は“相手が使える言語”に翻訳する
- 若手には具体的に
- ベテランには背景も
- 経営層には数字で
明日からできるチェックリスト
- ☐ 相手の立場に合わせて伝え方を変えているか
- ☐ 若手には「具体的な手順」を伝えたか
- ☐ ベテランには「影響と尊重」を示したか
- ☐ 経営層には「数字・リスク・成果」で話したか
- ☐ 叱るときに「怒り」ではなく「改善提案」を意識したか
まとめ
- 立場によって響く言葉は異なる。
- 若手には具体性+安心感、ベテランには尊重+影響、経営層には要点+数字。
- 叱るのは「成長のため」、怒るのは「感情の発散」。
- 信頼を壊さない伝え方で、組織全体の成果は大きく変わる。
次回予告
伝わるコミュニケーション実践講座|第4回は「外国人スタッフに伝わる指示──文化と言語の壁を越える方法」。
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