【AI×人が創る職場コミュニケーションの最前線】              【第7回】属人化の罠からチームを救う
 ─AIを活用した「業務の棚卸し」と仕組み化という視点

※この記事は、「あの人がいないと回らない」状態から抜け出すために、AIを業務整理のアシスタントとして活用し、チームを属人化から解放する考え方と具体例を、管理職向けにまとめたものです。


「このチームは、あの人がいるから回っている」

現場でよく聞く言葉です。

一見すると頼もしい表現ですが、その裏側では、

  • その人が休むと業務が滞る
  • 引き継ぎが進まない
  • 管理職の判断負荷が集中する

といった問題が静かに進行しています。

人材の流動化、働き方の多様化が進む中で、
属人化したチーム運営は、もはや限界に近づいています。


チームが属人化する本当の理由

チームがうまく回らなくなる原因は、
個人の能力や意欲だけではありません。

多くの場合、
業務や判断の前提が言語化されていないことが原因です。

  • 誰が何を決めていいのか
  • 判断に迷ったときの基準は何か
  • 情報はどこに集まり、どう共有されるのか

これらが曖昧なままでは、
仕事は特定の人に集まり続けます。


AIは「仕組み化」を助ける並走ランナー

ここでAIが力を発揮します。

AIは、

  • 業務内容の整理
  • 判断ポイントの洗い出し
  • 暗黙知の言語化

といった、仕組みづくりの下支えが得意です。

重要なのは、
AIに判断を任せることではありません。

AIはあくまで、
人の思考を整理し、可視化するための並走ランナーです。


ケース:AIを使った業務の棚卸しで見えたもの

ある職場では、
業務の多くが一人のベテラン社員に集中していました。

管理職が最初に共有したのは、
「仕事を奪うためではなく、ベテランが楽になり、より力を発揮できる状態をつくるため」という目的です。

そのうえで行ったのが、
AIを使った業務の棚卸しでした。

◆AIへの指示(プロンプト例)

あなたは業務整理を支援するアシスタントです。
以下は、ある部署でベテラン社員が日常的に行っている業務メモです。
これらの業務を整理し、
・誰でも対応可能な作業
・判断基準があれば任せられる作業
・管理職判断が必要な作業
の3つに分類してください。

次に、ベテラン本人と一緒に、
1日の仕事を思い出すように業務を書き出していきました。

  • 朝のメール確認と対応判断
  • 他部署からの問い合わせ対応
  • イレギュラー発生時の判断
  • 若手からの相談対応

AIはこれらを整理し、
どこに判断が集中しているかを可視化しました。

その結果、

  • 実は判断が不要な業務
  • ルール化できる判断
  • 管理職が担うべき判断

が明確になりました。

属人化していた仕事は、
「人が特別だった」のではなく、
判断基準が言語化されていなかっただけだったのです。


管理職が設計すべきポイント

AIを活用する前に、
管理職自身が決めるべきことがあります。

  • チームの目的は何か
  • どこまでを任せ、どこから判断するのか
  • 失敗をどこまで許容するのか

これらは、ツールでは代替できません。

設計の責任は、常に人にあります。


仕組み化は、人を「自由」にするための投資

仕組み化という言葉に、
冷たさを感じる必要はありません。

むしろそれは、

  • 誰もが安心して休める
  • 無理なく引き継げる
  • 挑戦できる余白をつくる

ための、人への投資です。

AIで整理を任せることで、
管理職は「どんなチームをつくりたいか」という
本来の役割に集中できるようになります。


AI時代のチームづくりで問われるもの

AIは、

  • 整理する
  • 見える化する
  • 言葉にする

ことを助けてくれます。

しかし、

  • どんな関係性を大切にするのか
  • どんな文化を育てたいのか

を決めるのは、人です。

属人化から抜け出す第一歩は、
頑張る人を増やすことではなく、
チームの設計を見直すこと。

AI時代だからこそ、
人が担う役割は、より明確になっています。

チームの土台としての心理的安全性については、前回の記事で詳しく扱っています。↓

【第6回】対話と信頼はAIでつくれる?──心理的安全性を支える管理職の関わり

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