伝わるコミュニケーション実践講座
第10回 伝える力が組織を変える──AI時代のコミュニケーション戦略
「AIに仕事を奪われる」──そんな言葉を耳にすることが増えました。
でも本当にそうでしょうか？
確かに、AIは私たちの働き方を大きく変えています。
資料の要約、議事録の自動作成、メール文面の提案など、以前は人が時間をかけて行っていた作業をAIが一瞬でこなすようになりました。
しかし、AIがいくら進化しても、“人に伝える”という力は人間にしかできないことです。
たとえ完璧な文章をAIが作ったとしても、そこに「思い」や「意図」がなければ相手の心には届きません。
私たちは今、AIの進化によって“効率”が整う時代から、“共感”と“意味”が問われる時代へと進んでいます。
これまで9回にわたり、職場でのコミュニケーションをテーマに「叱る」「指示する」「AIを活用する」「フォローアップする」方法を見てきました。
そのすべてが、AI時代の“人らしい伝え方”につながっています。
最終回の今回は、AIと人が共に成長するためのコミュニケーション戦略についてまとめます。
なぜ今、“伝える力”が重要なのか
- 情報量が爆発的に増えた今、何を・どう伝えるかが成果を分ける。
- AIは「事実」を処理できるが、「意図」や「温度感」は人にしか伝えられない。
- 組織の中で“伝え方”を磨くことが、チームの信頼とスピードを生む。
💬 AIが「データ」を、あなたが「意味」を伝える──これが次の時代の分業です。
AI時代のコミュニケーション3つの進化軸
① 情報の伝達から「意図の共有」へ
AIがメールや文書を自動作成する時代だからこそ、目的を共有する力＝意図の翻訳者が必要になります。
たとえば、AIに「報告書を要約して」と指示する前に、「この報告のゴールは何か？」を定義できる人が求められます。
② 指示の一方通行から「双方向フィードバック」へ
AIが提案を出し、人が評価するサイクルが主流に。
職場でも「上司が指示する」から「AIと共に考える」へ。
部下やチームに「どう思う？」と投げかけるリーダーが、最もAIを味方につけられる存在です。
③ 感情の排除から「共感のデザイン」へ
AIは論理的でも、人の心は感情で動く。
だからこそ、共感を意図的にデザインする力が鍵になります。
たとえば、AIが書いたメールに「お疲れさまです」や「ありがとう」を一言加えるだけで、関係性が変わります。
これからのリーダーに必要な３つの力
1️⃣ AIを使いこなす理解力（ツール操作ではなく「使いどころ」を見極める）
2️⃣ 人を動かす伝える力（目的・意図・背景を伝える）
3️⃣ 共感でチームをつなぐ力（デジタルでは補えない心の温度）
AI時代のリーダーは、“効率”よりも“共感”を武器にする人です。
明日からできる実践チェックリスト
☐ ChatGPTなどのAIツールを「伝える補助」に活用しているか
☐ 指示や叱責の前に「目的」を言語化しているか
☐ 相手の立場や感情を想像して伝えているか
☐ チームの意見をAI議事録などで共有できているか
☐ 「ありがとう」「助かった」を意識して言葉にしているか
まとめ
AI時代のコミュニケーションとは、
“人とAIの得意分野を組み合わせて、より人らしい組織を作ること”。
AIが効率を担い、人が意味と感情を届ける。
このバランスが、チームを強く、柔らかくします。
💬 「伝える力」は、どんな時代にも人を動かす。
AI時代にこそ、その力を磨くことが、組織を未来へ導く最大の戦略です。
まとめのひとこと
シリーズ全10回「伝わるコミュニケーション実践講座」をご覧いただきありがとうございました。
次回からは、“AI×人”が創る職場コミュニケーションの最前線をテーマに、新シリーズをお届けします。
投稿者プロフィール
最新の投稿
AI×人が創る職場コミュニケーションの最前線2025年12月5日第1回 AIで変わる「伝える力」──人間の役割はどこにある？ 
50代からの生き方とお金リデザイン2025年12月2日第5回 人生後半の「楽しむ力」を育てる- 50代からの生き方とお金リデザイン2025年11月26日第4回 人生後半の「新しい収入」と「生きがい」のつくり方
- 50代からの生き方とお金リデザイン2025年11月19日第3回：お金と心を軽くする“手放すリスト”
